ChatGPTなどの生成AIが搭載されたデータ分析ツール6選
「データ分析」と聞くと、その背後には専門的な知識を持つデータサイエンティストが必要というイメージがありますが、実は既にその常識を覆し始めています。
特に、ChatGPTのようなAIを活用したデータ分析ツールがその最前線に立っており、これらのツールにより誰もが容易にデータ分析を行える時代が幕を開けています。
そこで、本記事では、その中でも特に注目のデータ分析ツールをピックアップし、それぞれの機能や魅力を詳しく解説します。
これからの時代の波に乗り遅れないように、ぜひチェックしてみてください!
Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)
現時点において、データ分析において革命を起こす可能性が一番高いツールはChatGPTの公式プラグイン「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」です。
このプラグインを利用することで、ユーザーはChatGPT上でPythonを使用したコードの実行や、ファイルのアップロードとダウンロードができるようになります。
現在、「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」はβ版として提供されており、ChatGPT Plusの契約者(月額20ドル)だけが利用できます。
Advanced Data Analysisの一番優れている点は、「単なるデータ分析だけでなく、結果の考察と施策の提案まで行う」能力にあります。
これまでのデータ分析ツールでは、結果の解釈はユーザー自身が行う必要がありました。しかし、「Advanced Data Analysis」では、カラム名やデータの特徴を理解し、結果を解釈することが可能です。
例えば、機械学習ツールは、「年齢と給与には相関関係がある」といった結果を出力できます。しかし、その結果が何を意味するのかを理解するのは困難でした。
それに対し、ChatGPTは膨大な情報を学習済みであり、「年齢が高いほど給与も高い」という状況を一般的な状態と比較して解釈することができます。(画像参照)
つまり、「Advanced Data Analysis」は、データを投入するだけで自動的に分析し、その結果から得られる知見を示唆してくれるビジネスマンが一番求めている分析ツールとなる可能性があるということです
「Advanced Data Analysis」の詳細は以下で解説しているので、さらに知りたいかはこちらも併せてご覧ください
Copilot in Excel
引用:Microsoft 365 Copilot をリリース – 仕事の新たな形を創造
多くのビジネスマンにとって欠かせないツールであるMicrosoftの表計算ソフト「Excel」にも、自然言語処理で簡単に分析ができるようになるAIが搭載予定です。
具体的には、ユーザーがExcel上のデータに対して質問や指示を出すと、AIがその指示に応じてデータについての質問に答えたり、必要に応じて分析を行ってくれたりします。
引用:Microsoft 365 Copilot をリリース – 仕事の新たな形を創造
たとえば、「種類やチャネルごとの売上高の内訳表を作成する」という指示を出せば、AIが自動で表を作成し、「売り上げの低下原因を推定し、グラフを生成して視覚的に表示して」と言えば自動でグラフを作成してくれます。
つまり、ユーザーはまるで会話をしているように分析したいことを伝えるだけで、Excel上のデータを使った分析が完了します。
多くのビジネスマンが利用しているExcelにこの機能が搭載されれば、生産性が大幅に上がることは間違いありませんね!
「Copilot in Excel」は「Microsoft 365 Copilot(リリース日未定)」を契約することで利用できます。
「Microsoft 365 Copilot」の詳細や料金は以下で解説しているので、さらに知りたいかはこちらも併せてご覧ください
Tableau GPT
全世界の多くの企業で導入されているBIツール「Tableau」に、新たなAI機能「Tableau GPT」が搭載されることが発表されました。
この新機能は、会話形式でデータについて指示や質問が可能となるというもので、ダッシュボードの開発者向け機能と、ダッシュボードを閲覧するユーザー向け機能に分かれています。
まず、1つ目のダッシュボードの開発者用の機能ですが、こちらは簡単にいうと「チャット形式でダッシュボード開発を支援してくれる機能」です。
引用:What Are Tableau GPT and Tableau Pulse?
具体的な機能内容についてはまだ全てが公開されていませんが、デモでは「チャット形式で指示を出すだけで計算フィールドを自動で作成する」という機能が紹介されています。
これにより、ダッシュボードの開発者は開発効率を大幅に高めることが可能となるでしょう。
一方、閲覧者向けの機能は、「チャット形式でデータについて質問する」ことができるというものです。
既存のダッシュボードは便利なツールである一方、データの読み取りや解釈は閲覧者に任せられており、自分が探しているデータを見つけるのに時間がかかったり、必要なデータがどこにあるのか分からなかったりといった問題が生じていました。
引用:What Are Tableau GPT and Tableau Pulse?
しかし、新たに導入される「Tableau GPT」を使用すれば、まるでデータと会話をするかのように、質問をするだけでグラフや表を作成し、自分が欲しい情報へのアクセスが可能になります。
このように、「Tableau GPT」を使うことで、開発者の作業効率を大幅に向上させるだけでなく、ダッシュボードから必要な情報を誰でも簡単に閲覧できるようになります。
「Tableau GPT」についてもっと知りたい方は、以下の公式サイトでTableauGPTが紹介されているページをご覧ください!
QuickSight Generative BI
Amazonが提供するBIツール「QuickSight」にも、自然言語を用いたダッシュボード作成やデータ分析が可能になるAI機能「Generative BI」が導入されます。
こちらも、Tableau GPTと同じく開発者と閲覧者の双方を対象とした2つのAI機能が搭載されることが発表されています。
参考:Announcing Generative BI capabilities in Amazon QuickSight
まず開発者向けの機能では、自然言語を用いてグラフの作成、ビジュアルの微調整やフォーマットの変更、そして計算式の作成などを効率的に行うことが可能となります。
これらの機能により、開発者は自然言語で指示するだけで、ダッシュボードの構築やビジュアルの調整を素早く効率的に進めることが可能になります。
参考:Announcing Generative BI capabilities in Amazon QuickSight
また、ダッシュボードの閲覧者向けの機能では、自然言語を使用して必要な情報を入力するだけで、QuickSightが瞬時に必要な情報を生成し、ストーリー形式のダッシュボードを作成してくれます。
この機能の一番優れている点は、単にグラフや表を生成するだけでなく、データの背後にある背景情報や、データから読み取れる意味を詳細に説明し、さらに次に何をすべきかのアクションまで提案してくれる点です。
これにより、ユーザーはデータ分析のレポートやプレゼンテーション資料を自ら作成する必要がなくなります。
つまり、QuickSightの「Generative BI」は、ダッシュボード開発の効率化だけでなく、ダッシュボード閲覧者がデータを理解し行動に移す手助けもしてくれる機能だということです。
QuickSightの「Generative BI」についてもっと知りたい方は、以下の公式サイトで紹介されているページをご覧ください!
Copilot in Microsoft Power BI
引用:https://powerbi.microsoft.com/ja-jp/
Microsoftが提供するBIツール「Power BI」にも、ダッシュボードの開発者や閲覧者を自然言語でサポートしてくれるAI「Copilot in Microsoft Power BI」が搭載されます。
ユーザーは自分が探している視覚的な洞察や情報を簡単に説明するだけで、Copilotがそれに応じて分析を行い、レポートを作成します。
たとえば、ユーザーが「売上の月次推移を見たい」というような要望をCopilotに伝えると、Copilotはその要望を理解し、必要なデータを取り出して視覚的なレポート(この場合は売上の月次推移のグラフ)を作成します。
言葉だけで説明するよりも、実際に見てもらった方が理解が早いと思います。上記の動画はMicrosoftが公開している「Copilot in Microsoft Power BI」のデモ動画です。
※以下のデモ画面は公式サイトのデモ動画より引用
まず何もないページに、作りたいダッシュボードについての情報を数行で記述します。
そこから、Copilotがその要望を理解し、信じられないほど短い時間でダッシュボードを作成しました。
開発経験者でも1時間以上かかると考えられる作業を、一瞬で完成させてしまったことは驚きです。
その後、さらに詳細な情報を要求しながら、Copilotと対話してグラフを追加したり、ビジュアルを変えたりすることでダッシュボードをブラッシュアップします
Copilotはデータから読み取れる情報を理解して、それをサマリーとして表示することも可能です。
これにより、忙しい人でもサマリーだけ見れば十分な情報を得られます。
最終的に、会話形式でダッシュボードをブラッシュアップしていき、専門家でも数時間はかかるであろうダッシュボードをわずか数分で完成させます。
デモ動画を見ただけでも、MicrosoftのAI「Copilot in Microsoft Power BI」の優れた機能が感じられますね。
「Copilot in Microsoft Power BI」を活用すれば、誰でも容易に、かつ専門的なダッシュボードを作成することができるといえるでしょう。
現時点では、プライベートプレビューとして限られたユーザーしか使えませんが、数ヶ月~1年以内に一般ユーザーに公開される可能性が高いです。
「Copilot in Microsoft Power BI」についてもっと知りたい方は、以下の公式サイトで紹介されているページをご覧ください!
Rows
「RowsI」は、AIが自動でデータ分析を行う機能を備えた次世代の表計算ソフトウェアです。
このツールの一番優れている点は、多くの人に馴染み深いExcelのような表計算ソフトでありながら、チャット形式でAIに指示を出すだけで、誰でも簡単に分析ができるようになる点です。
具体的な機能としては、まずデータセットを読み込んで、AI分析機能ボタンを押すだけで、ユーザーが特別な指示を出さなくても基本的な統計情報を自動的に計算してくれます。これにより、ユーザーはデータの全体像をすぐに理解することが可能になります。
さらに、もし特定のデータを詳しく見たい場合には、それをチャット形式でAIに伝えることで、AIがその計算を行い、新たにテーブルを作成してくれます。
加えて、「Rows」はGoogle AnalyticsやInstagram、Twitter、Youtube、SalesForce、Stripeなどのさまざまなツールと簡単に連携が可能で、その連携したデータをもとにAIに分析を行ってもらうことも可能です。
データ連携をスムーズに行えます。その結果、自社で取得したデータの分析も手軽に可能となり、データ利用の幅が広がります。
このように、「Row」は、表計算ソフトの使い勝手を保ちつつ、さまざまなツールと連携して自社のデータをAIにより分析できるので、データ分析作業をより効率的に行うことができ、さらなるビジネスの洞察を得ることが可能になります。
「Rows」はいくつかのプランがあるのですが、無料プランでもAI機能を試すことはできるので気になった方はぜひ一度無料で試してみてください
まとめ
以上が、ChatGPTなどの生成AIによって自動的なデータ分析が可能となるサービスの一部です。
これらのサービスはまだ進化の途中で、これからさらに使いやすくなることは間違いないでしょう。
これらのツールの登場により、データサイエンティストの仕事が奪われるとはまた思いませんし、むしろこれらのツールを活用することで、データ分析の作業を大幅に効率化することが可能になります。
したがって、データサイエンティストはAI分析ツールによって仕事が奪われることを恐れるのではなく、これらのツールを上手に活用し、分析作業を効率化することが重要となってきます。
また、新たなAIデータ分析ツールが登場したら、その情報も随時追加していきます。
それでは!