ChatGPT「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」でデータ分析!使い方や活用事例・料金について徹底解説

2023年7月、ChatGPTの有料版(ChatGPT Plus)ユーザー向けに画期的な新機能「Advanced Data Analysis (ADA)」(旧称: Code Interpreter)が提供開始されました。
この機能は、ChatGPTが単なる対話型AIから、高度なデータ分析やファイル操作まで実行できる強力なツールへと進化したことを象徴しています。
例えば、売上データが記録されたExcelファイルをアップロードし、ChatGPTにデータ分析やグラフ作成を依頼する、といったことが可能になります。
従来は有料プラン限定の機能でしたが、現在(2025年6月時点)では、最新モデルGPT-4oを利用することで無料ユーザーも一部機能を利用できるようになり、さらに多くの人々にとって身近なものとなりました。
この記事では、ChatGPT Advanced Data Analysisの基本的な使い方から、具体的なデータ分析の活用事例、料金体系、さらにはセキュリティに関する注意点まで、徹底的に解説します。
データ分析の専門家でない方でも、この機能を活用して業務効率を飛躍的に向上させるヒントが見つかるはずです。
Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)とは

ChatGPTの「Advanced Data Analysis (ADA)」機能は、OpenAIが提供する大規模言語モデル(LLM)であるChatGPTの能力を大幅に拡張し、単なる対話型AIからインタラクティブな計算・分析ツールへと進化させるものです。
この機能は、従来のChatGPTが抱えていた「コードを実行できない」「ファイルをアップロードできない」「グラフを生成できない」「複雑な数学的問題の処理能力が低い」といった制約を解消するために開発されました。
ADAの主な目的は、プログラミングの専門知識の有無にかかわらず、誰もが自然言語による対話を通じて高度なデータ分析タスクを実行できるようにすることです。これにより、データサイエンスの民主化を大きく前進させます。
提供価値は多岐にわたります:
- データ分析の効率化: データクリーニング、探索的データ分析、視覚化作成といった作業を自動化・高速化。
- 洞察の迅速な発見: 膨大なデータセットから短時間で有益な情報やパターンを抽出。
- 生産性の向上: コーディング作業の大部分をAIに任せることで、ユーザーは分析の目的や解釈に集中可能。
- 創造性の促進: 様々な角度からの分析や視覚化を容易に試せるため、新たなアイデアや仮説が生まれやすく。
- 多様なファイル形式への対応: CSV、Excel、PDF、画像、動画など、幅広いデータを扱える。
経験豊富なアナリストにとっても、定型的な作業を自動化し、より戦略的な分析に時間を割くことを可能にする「拡張知能(Augmented Intelligence)」として機能します。
詳しい仕組みについては、以下のサイトで解説されているので、気になる方はこちらも参考にしてみてください!

Advanced Data Analysisで何ができるのか
何となく便利そうなのは伝わったと思いますが、結局一番気になるのは「Advanced Data Analysis」を使って何ができるのかですよね
「Advanced Data Analysis」の一番の凄いところは、ChatGPT上にファイルのアップロードやダウンロードができるようになった点です。
これにより、ChatGPTにデータ分析や画像の編集、動画の加工など、さまざまな領域の作業を依頼できるようになりました。

例えば、売上データを含むCSVファイルをアップロードすれば、そのデータを基に売上の低下原因を分かりやすいグラフを用いて分析してくれます。
さらに、プレゼンテーションの資料作成が必要な場合でも、ChatGPTに指示すればPowerPoint形式で資料を自動作成してくれます。
手作業でやるとかなり時間がかかる、このようなGIFも一瞬で作ってくれます。

Google DriveやMicrosoft OneDriveのファイルを直接分析
新しいデータ分析機能として、Google DriveやMicrosoft OneDriveから直接ファイルを取り込む機能が追加されています。
利用できるのは有料プランのユーザーが使うGPT-4oモデルです。
データをアップロードすることなく、Google Drive、またはMicrosoft OneDriveからファイルを直接追加できます。
そのため、Google スプレッドシート・ドキュメント・スライド、Microsoft Excel・Word、PowerPoint のファイルのデータ分析がさらに便利になりました。
セキュリティとプライバシーにも配慮されており、Team及びEnterpriseプランのデータは、モデルのトレーニングに使用されません。また、ChatGPT Plusのユーザーは、「データコントロール画面」でデータがトレーニングに使用されることをオプトアウト(拒否)できます。
参照:Improvements to data analysis in ChatGPT
Advanced Data Analysisの具体的な使い方や活用事例
ここからは具体的な使い方や活用事例について紹介します。
店舗の売上データの分析

こちらの記事ではアパレル店舗の売上データの分析をChatGPTを用いてどれだけ簡単かつ迅速に行えるのかを具体的な実例を交えて詳しく紹介しています。
ChatGPTが自ら売上データを分析して、最終的にはどんなアクションを取れば良いかまで教えてくれている一連の流れを実際のやりとりのスクショと共に解説されています。
予測モデルの作成

「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使えば、過去のデータから未来のデータを予測する予測モデルの作成も可能です。
こちらの記事では、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使って予測モデルを作成して、データ分析の大会で平均以上の成績を出した様子が書かれています。
まだデータサイエンティストのような専門家が本気で作った予測モデルには精度では勝てないですが、プログラミングについての知識がなくても予測モデルを作成ができるのは驚きですね。
Netflixのデータ解析

こちらの記事では、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使ってNetflixの世界の視聴ランキングデータを元に、日本の人気作品や日本製のNetflixオリジナル作品が他の国でどれだけ人気があるかを分析しています。
Excelで行うと時間がかかるような分析も「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使うことで誰でも簡単にできるようになる良い例ですね!
ツイートからの人物プロファイル推定

こちらの記事では、ユーザーが自身のTwitterの全ツイートデータを「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」に分析させ、そのユーザーの人物像を推測できるのかを検証する実験を行っています。
最終的には、ユーザーの職業や年齢、家族構成などを高い精度で推測できており、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」の分析能力の高さを物語る結果となっています。
EXCELの集計・編集

この記事では、大量のExcelデータを迅速に集計、分析するための方法を「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を用いて具体的に紹介しています。
複数のファイルに散らばったデータを1つにまとめ、Excelでの集計作業はもちろんのこと、グラフの作成までを「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」に丸投げしている様子は、これからの仕事の仕方が大きく変わることを確信させてくれます。
ダミーデータの作成

この記事では、リアルなテストデータが必要な場面で、実際のデータを使用することができない場合に「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使用してどのようにダミーデータを簡単に生成できるのかを詳細に紹介しています。
データの構造や条件を指定するだけで、リアルに近いデータを大量に生成することが可能なので、開発やテスト作業の時に役立ちます。
音声データの解析

この記事では、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使えば専門的な知識がなくても音声ファイルの様々な処理が可能であることを紹介しています。
具体的には、音声ファイルのトリミング、再生速度の変更、音源の波形の確認、そしてスペクトログラムの作成といった一連の作業を、特別なコードを書くことなく行う方法を詳しく解説しています。
画像データの解析

この記事では、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を使った画像処理について詳しく解説されています。
具体的には、画像のフォーマットの変更、RGB画像のグレースケールへの変換、特定のテーマに基づく画像処理、さらには物体の輪郭検出など、多岐にわたる処理を実施する方法を実例とともに解説されています。
プレゼン資料作成

この記事では、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」にプレゼン資料を作ってもらう方法が紹介されています。
作りたいプレゼン資料のテーマと内容を説明するだけで、資料の構成と内容を考えて、その内容に沿ったプレゼン資料を作成してくれるので、普段からプレゼン資料を作る機会が多い人は必見です!
Webアプリの作成

この記事では、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」を活用して、手軽にwebアプリを開発する方法を詳しく取り上げています。
ChatGPTとの具体的なやり取りや実際に使用したコードも紹介されており、本当に1行も書かずにwebアプリが作成できている様子の一部始終を見ることができます。
QRコードの生成

QRコードの生成をチャットで依頼するだけで、簡単にQRコードが生成できます。
こちらがダウンロードしたQRコードです。簡単ですので是非、試してみてください。

Advanced Data Analysisを現役データサイエンティストが実際に使ってみた素直な感想
現役データサイエンティストである筆者が「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」をリリース開始直後から実際に使った素直な感想です。
良かった点
「めっちゃ凄い!!!!」というが正直な感想です。
これまでの分析ツールと異なり、やりたいことをざっくりとチャット形式で伝えるだけで良いという使いやすさは、データ分析の専門家でない人でも非常に使いやすいなと思いました。
また、データ分析の専門家であっても、初期分析や探索的な分析、可視化などをChatGPTに依頼することで分析の効率が大幅に上がることは間違いありません。
そして、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」の最も素晴らしい点は、「ChatGPT上でコードが実行できる」ことです。
これまでにもデータ分析が可能なツールは存在しましたが、結果の最終的な解釈は人間が行う必要がありました。
しかしながら、「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」では、カラム名やデータの特徴、そして結果からChatGPTが自らデータを解釈し、既に学習済みの膨大なデータを元に考察を行なってくれるのです。
例えば、一般的なAIや機械学習ツールであれば、「年齢と給与には相関関係があり、年齢が高いほど給与も高い」といった結果を出力できます。しかし、その結果を解釈し、意味を理解することは難しいです。

しかし、ChatGPTは事前に様々な情報を学習しているため、「年齢が高いほど給与も高いのは一般的な状況と同じである」といった一般論と比較して結果を考察してくれます。
これは他のツールでは得られない特徴であり、非常に価値があると感じました。
つまり「Advanced Data Analysis(旧Code interpreter)」はデータを与えれば自動で分析して、データから分かることを教えて示唆を出してくれる、全ビジネスマンガ望んだツールになる可能性があるということです!!
イマイチな点
メモリ制限が結構シビアです。
データは最大で512MBまでアップロードできますが、100MB程度のデータで特徴量を増やすだけで、すぐにメモリ不足に陥ってしまいます。
なので現状では、これらの制約のため、大規模なデータセットを使用した複雑なデータ分析にはまだ使えないですね
しかし、これらの制限が解消され、さらに自分の分析環境に接続できたり、直接データベースにアクセスできるようになったら、GPT-4はデータサイエンティストの代替になる可能性は充分あると思います。
さらに、ChatGPTはデータ分析の専門家ではないので、分析部分をAutoMLやDataRobotのような高度なAIモデル作成ツールと組み合わせることができれば、さらに便利になることは間違いなしです!
Advanced Data Analysisに関するQ&A
Advanced Data Analysisに関するよくある質問をまとめました。
実は危険?アップロードしたデータの流出の可能性はある?
Open AI社は「Advanced Data Analysis」のプライバシーとセキュリティについては、最大限の配慮をしていると述べています。
ですが、現時点では絶対安全という保証はないので、機密情報や個人情報のアップロードは避けた方が良いでしょう。
ファイルのアップロードサイズの上限と種類は?
512MBまでのCSV、Excel、PDF、GIFs、動画、画像などファイルをアップロードできます。
アップロードできる主なファイルは以下の通りです
- テキストファイル(.txt)
- Python スクリプト(.py)
- Jupyter ノートブック(.ipynb)
- CSV ファイル(.csv)
- Excel ファイル(.xls, .xlsx)
- 画像ファイル(.jpeg, .jpg, .png, .gif, .bmp など)
- PDF ファイル(.pdf)
- ZIP ファイル(.zip)
- 動画ファイル(.mp4, .avi, .movなど)
- GIFファイル(.gif)
生成したソースコードはダウンロードできる?
作成してもらったコードを.py形式で出力するできるので、同じコードをローカルで実行することもできます。
Python以外のプログラミング言語は実行できる?
2024年6月現在、「Advanced Data Analysis」はPythonのみ実行可能です。
- インターネットに接続されていないため、外部APIにリクエストを送信したり、Webスクレイピングを行ったりすることはできません。
- 実行時間には制限があり、特定のコードセルの実行が120秒以上かかると、タイムアウトとなります。
- メモリ使用量やCPU使用量には制限があります。
- アップロードしたファイルやダウンロードファイルは一定時間終了すると削除されます。
プライバシー保護やセキュリティについて
Open AI社は公式サイトにて「Advanced Data Analysis」のプライバシーとセキュリティについては、最大限の配慮をしていると述べています。
具体的には、AIが生成したコードが現実世界で予期しない影響を及ぼさないよう、コードは安全な環境で実行され、インターネットへのアクセスも制限しており、各セッションで使用できるリソースの量にも制限を設けています。
ただ、Advanced Data AnalysisはcsvやExcelのデータをアップロードできるので、アップロードした後のデータの取り扱いなども把握しておく必要があり、機密情報や個人情報のアップロードは避けた方が良いでしょう。
まとめ
以上、ChatGPTプラグイン「Advanced Data Analysis」のスゴすぎる活用事例を中心に紹介しました。
どの活用事例を見ても、多くの業界や職種で今後の働き方が大きく変わる予感がしますね!
この先、ChatGPTを使いこなすことで仕事の生産性が大きく変わると考えられるため、早めに慣れておくことが重要です。
もし他に良い活用事例があれば追記していきます!
それでは!
「Advanced Data Analysis」を使って、プログラミングの生産性を爆上げる方法は以下のページで紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください!
