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ノーコードでLLMアプリやチャットボットが開発できる「Dify」の使い方や料金を徹底解説!無料版はある?

a.matsuzaki
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「Dify」を使えば誰でも簡単にノーコードでアプリやチャットボットを作ることができます。

一般的に、アプリ開発はプログラミング知識やユーティリティの設計など、非常に専門的なプロセスです。さらに、カスタマイズも容易にはできません。

しかし、Difyを使えば、直感的で使いやすいUIで、誰でも容易にアプリ開発やカスタマイズを進めることができます。

プログラミングの知識がない人におすすめの開発プラットフォームです。

本記事ではDifyの概要や機能、始め方、使い方をわかりやすく解説します。

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Difyとは

引用:https://dify.ai/jp

DifyはAIを活用したアプリケーション開発プラットフォームです。

米国を拠点とするLangGenius, Inc.が提供しています。

Difyのユーザーインターフェースは、初心者でも簡単に操作できるように設計されています。

ドラッグ&ドロップでアプリケーションを構築し、パラメーターも直感的に設定することが可能です。

アプリ開発のプロセスで複雑なコーディング作業は必要ありません。

豊富にラインナップされたテンプレートやアプリの拡張性にも注目です。

テンプレートをカスタマイズすることで、効率的にアプリを作成できます。

さらに、アプリに外部ソリューションのAPIやツール(Google検索やDALL-Eなど)を統合させることも可能です。

Difyは日本語で利用できる?

Difyの公式サイト、アプリ作成ツール操作は日本語に対応しています。

もし、日本語以外の言語が設定されている場合は、アカウント設定画面から変更しておきましょう。

右上のDifyアイコンをクリックして「設定」へ進みます。

次に、「言語」から日本語を選択してください。

一方で、アプリ作成に使用する「テンプレート」の説明、出力コンテンツは全て英語です※。

分かりにくい場合は、必要に応じてDeepLやGoogle翻訳を活用しましょう。

※ 日本語を出力させるプロンプトも設定できます。

Difyの料金は?

比較項目サンドボックスプロフェッショナルチームエンタープライズ
月額料金無料$59/月$159/月営業に連絡
年額料金$590/年$1590/年営業に連絡
作成できるアプリ数1050無制限無制限
メッセージクレジット200回5,000回/月10,000回/月営業に連絡
カスタムツールの利用利用不可10無制限無制限
サポートコミュニティへ質問メールサポート優先サポート個別サポート

Difyはユーザーニーズに応じて4つのプランを用意しています。

サンドボックスプランは、基本的な機能を無料で試したい方におすすめです。

プロフェッショナルプランは、個人や小規模チームに最適なアプリ開発環境を提供します。

チームプラン、エンタープライズプランは、比較的規模の大きい企業で使用する場合に利用されます。

チーム内での業務共有もスムーズに行うことができます。

なお、プロフェッショナルとチームプランは年間契約にすることで2か月分の契約料が割り引かれます。

長期的に使用を計画されている方は年間契約がおすすめです。

参照:Dify料金プラン

Difyの機能

Difyにはアプリを作る機能と、アプリ作りを設定する機能があります。

上記掲載のダッシュボード画面を見てください。

左側(青のマスキング)にはアプリ作成をスタートさせるメニューがあります。

赤でマスキングした上部はアプリ作成に必要な設定を行うメニューです。

アプリ作成のスタートメニュー

作成方法概要
最初から作成目的や機能などを設定して1からアプリを作成
テンプレートから作成テンプレートを選び、設定をカスタマイズして作成
DSLファイルをインポートDSLファイル(YAML)をインポートして作成

Difyではアプリを特定の機能を追求し、1から作成することが可能です。

他にも、テンプレートやDSLファイルを使用したアプリ作成もできます。

アプリ・機能概要
チャットボットユーザーの質問に自動で応答するアプリ例: カスタマーサービス、ナレッジを用いた専門回答
テキストジェネレーター指定されたテーマに基づいて文章を自動生成するアプリ例: スピーチ、ストーリー作成
エージェント定期的なタスクを自動で完了するプログラム例: 会議アジェンダ作成、旅行などの計画提案
ワークフロー一連のアプリ作成作業を体系的に進める機能

チャットボット、テキストジェネレーター、エージェントがAIを用いて簡単に作成できます。

ワークフローを用いれば、視覚的・体系的にアプリ作成を進めることが可能です。

アプリ作成の設定メニュー

メニュー概要
探索テンプレートアプリ検索選択したアプリを即時に利用
スタジオアプリの設計・管理新しいプロジェクトの作成
ナレッジ独自のテキストデータを登録PDFやExcelデータのインポートリアルタイムのデータ書き込み
ツールGoogle検索やDALL-Eなど外部ツールとの連携AIアプリの機能拡張

探索でのテンプレート活用、スタジオでのアプリケーション管理、ナレッジでのデータ管理、ツールでの外部連携など、効率的なAIアプリ開発環境を構築・設定します。

Difyの始め方

DifyはWebブラウザの他、ローカル環境でも使うことができます。

WebブラウザでDifyを始める

GitHub IDとGoogle IDのいずれかが必要です。

所有していない方は事前に準備しておきましょう。

参照:https://www.google.co.jp/

参照:https://github.co.jp/

1.Dify公式サイトへアクセス

まずはDify公式サイトへアクセスしてください。

画面右上の「始める」もしくは、画面中央の「始める」をクリックしてアカウントを作成していきます。

Dify公式サイト:https://dify.ai/

2.アカウント作成

GitHub ID、もしくはGoogle IDを使ってアカウントを作成します。

情報共有、プライバシーポリシーを確認して「次へ」をクリックしてください。

3.Difyで開発開始

アカウント作成後にダッシュボード画面に移行します。

最初はテンプレートなどを用いてチャットボット、エージェント、ワークフロー作りを試してみましょう。

Difyをローカル環境で始める

自分のパソコンやサーバー上でDifyツールを実行することができます。

外部サーバーを経由しないため、開発やテストが安全に行えます。

1.Difyのソースコードを取得

Gitがインストールされていない方は、DifyのGitHubページからzipファイルをダウンロードし、解凍します。

Gitを使ってリモートリポジトリにあるプロジェクトのファイルと履歴をローカル環境(自分のパソコン)にコピーしてください。

コマンド「git clone https://github.com/langgenius/dify.git」

2.Dockerを起動

引用:https://www.docker.com/ja-jp/

Docker Desktopは、コンテナ技術を利用してアプリケーションを実行するためのツールです。

インストールをしていない方は公式サイトからダウンロードしてください。

個人ユーザーであれば無料で使用できます。

3.コマンドプロンプトを開く

ダウンロードした「Dify.git」があるフォルダでコマンドプロンプトを起動します。

4.Dockerを起動

Dockerフォルダへ移動してください。

コマンド「cd C:\[任意のフォルダ]\docker」

Dockerを起動します。

コマンド「PS C:\[任意のフォルダ]\docker> docker compose up」

5.コンテナの確認

すべてのコンテナが正常に起動しているか確認します。

コマンド「PS C:\[任意のフォルダ]\docker> docker compose ps」

6.ローカルホストへアクセス、ログイン

http://localhost/installにアクセスしてください。

管理者アカウントの設定画面でメールアドレス、ユーザー名、パスワードを設定します。

登録したログイン情報を入力してログインしてください。

Difyのダッシュボード画面が表示されたら設定完了です。

Difyをローカル環境で利用できるようになります。

Difyの使い方

Difyではチャットボットの他、物語やスピーチを作成できるテキストジェネレーター、検索やキュレーションを自動でやってくれるエージェントを作成できます。

APIの設定などが必要になることもありますが、下記ハウツーを参照すれば誰でも簡単にAIアプリを作成することが可能です。

各APIキーを設定

最新のChatGPTやGeminiをアプリで使用したい場合、API設定が必要です。

ここではGeminiを例に出してAPI設定を解説します。

1.Google AI Studioへアクセス、ログイン

引用:https://aistudio.google.com/app/apikey

Google AI Studioへアクセスし、画面中央の「Google AI Studioにログイン」をクリックしてください。

画面右上の「ログイン」でも問題ありません。

自身のGoogle IDでログインします。

2. 新規でAPI Key作成

ログイン後はメニューから「Get API Key」をクリックしてください。

画面中央の「APIキーを作成」を選択、「新しいプロジェクトでAPIキーを作成」を押してAPIキーを取得します。

3.DifyでAPI設定

画面右上のアカウントアイコンから「設定」を選択し、「モデルプロバイダー」をクリックします。

次に、取得したAPIキーを入力して保存をしてください。

以上でGeminiのDify導入は完了です。

チャットボットを作成する際にGeminiを選択できます。

テンプレートを使う

いくら簡単にAIアプリを作れるとしても、アプリ作成では戸惑うこともあると思います。

そこで役立つのが「テンプレート」です。

テンプレートを用いれば目的設定、駆動手順などの専門用語がわからなくても自分だけのAIアプリを作成できます。

目的に応じたテンプレートがある場合は積極的に利用し、アプリ作成工程の効率化を図りましょう。

チャットボットを作る

ここでは、テンプレートを使わずににチャットボットを作成する方法を解説します。

チャットボットとは企業のウェブサイトのカスタマーサービスなどでよく活用されており、人間と自然な言語でコミュニケーションが取れるAIプログラムです。

チャットボットを導入すると、ユーザーは24時間いつでも一貫した対応を受けられます。

正確な情報をAIに回答してもらうためには、Difyの「ナレッジ」機能の使用がカギとなります。

今回は例として、UNIQLOを手掛ける株式会社ファーストリテイリングのサステナビリティレポートをナレッジでインプットし、専門回答をするAIチャットボットアプリを作成します。

引用:UNIQLO「サステナビリティレポート 2022 | 服のチカラを」

1.ナレッジの準備

メニューから「ナレッジ」を選択し、「知識を作成」をクリックしてください。

次に、任意の情報源(今回はUNIQLOのサステナビリティレポート)をアップロードします。

「保存して処理」をクリックします。

アップロードした資料がアクセス可能な状態になります。

チャンク設定※、インデックスモード、検索設定などの項目がありますが、初期設定のままで問題ありません。

AIアプリの出来具合に応じて、調整していきましょう。

※データを分けてLLMに取り込みやすくする設定

2.最初から作成

テンプレートではなく、「最初から作成」をクリックします。

パラメーターで「追加」をクリックし、ナレッジで作成したサステナビリティレポートを選択してください。

また、「機能を追加」から「引用と帰属」をアクティブにしてください。

これで、チャットボットにナレッジ資料が反映されます。

3.手順の作成

どのようにAIアプリが動くかを決定していきます。

プロンプト・プログラミングの知識がないと分かりにくいと思います。

そんな時はウィンドウ右上の「自動」をクリックしてください。

ヒアリング形式で手順が自動提案・作成されます。

「このオーケストレーションを適用する」をクリックすると手順に反映されます。

4.LLMの設定

API設定をしていない方はデフォルトではChatGPT3.5 turboが選択されています。

最新のGPT、もしくは他のLLMを使用したいという方はAPI設定で追加する必要があります。

5.AIアプリ完成、公開

チャットボットの完成です。

次に公開設定をします。

AIアプリを実行するURLを公開するか、自身のサイトに直接埋め込むかを選択します。

テキストジェネレーターを作る

テキストジェネレーターはスピーチやプレゼン、物語などを生成するAIアプリを作成します。

チャットボットと同じように作成していきますが、日本語で出力させる場合はプロンプトでJapaneseを指定する必要があります。

プロンプト例「Translate the content to: {{Japanese}}」

こちらが結婚式のスピーチの出力事例です。

さらに具体的に仕上げるためには、人物エピソードをナレッジ設定することも検討してみましょう。

エージェントを作る

Difyのエージェントは金融分析やSNS情報分析などのタスクを自動的に遂行してくれます。

ロゴデザイン、旅行プランの提案なども可能です。

上記例ではテンプレート「Travel Consultant」を日本語版にカスタマイズしてエージェントを作成しました。

エージェントの品質を高めるうえでタイムリーな情報、詳細情報が重要になります。

ツールにGoogleやWikipediaを採用するとよいでしょう。

ワークフロー

特徴ワークフロー(Workflow)チャットフロー(Chatflow)
目的自動化とバッチ処理対話型シナリオ
生成アプリ例高品質な翻訳、データ分析、コンテンツ作成、メール自動化顧客サービス、セマンティック検索
トリガー時間やイベントによるトリガー外部環境接続とツール呼び出し機能
主な用途データ処理、バッチジョブ、
システム統合
チャットボット、カスタマーサポート、対話型アシスタント

ワークフローはノードを追加しながら、体系的にアプリ開発をサポートする機能です。

似た機能にチャットフローがあります。

ワークフロー(Workflow)は、自動化とバッチ処理に特化し、データ分析やメール自動化といったアプリ開発に適しています。

一方、チャットフロー(Chatflow)は、対話型シナリオに最適で、顧客サービスやセマンティック検索などのアプリ開発に使用されます。

どちらも複雑なアプリ開発を効率化するために設計されていますが、用途に応じて異なる機能と利点を持っています。

参照:https://docs.dify.ai/features/workflow/introduce

実際に生成したチャットボットの例

チャットボット、テキストジェネレーター、エージェントAIアプリの使用例を紹介します。

カスタマーサービス(チャットボット)

「チャットボットを作る」で解説した通り、的確なカスタマーサービスボットを作成する際はナレッジ設定がカギとなります。

企業情報や製品情報など、カスタマーサービスの用途に応じてナレッジを更新しておきましょう。

SEO記事の作成アプリ(テキストジェネレーター)

テキストジェネレーターを用いてコンテンツマーケティングの記事を作成しました。

キーワードと言語、おおよその内容を設定するだけですぐに作成できます。

旅行計画の提案(エージェント)

エージェント機能は金融分析やSNS分析など、API設定が成功すれば幅広いユーティリティが期待できます。

さらに、タイムリーな情報を反映させたビジネス・旅行計画の提案も可能です。

上記例では旅行提案のエージェントを作成し、北海道旅行を提案してもらいました。

Difyは安全?運営元は?

引用:Luyu Zhang Linkdin

項目詳細
運営会社LangGenius, Inc.
本社所在地米国
法律・ポリシー米国の法律とデータポリシーを順守
開発チームTencent Cloud CODING DevOpsチームが関与(ただし、Tencentや政府機関とは無関係)
運営方針市場主導型、透明性を重視
CEOLuyu Zhang

Difyのサービスは米国のLangGenius, Inc.によって開発・運営されています。

Tencent Cloud CODING DevOpsチームが開発に関与しているものの、Tencentや政府機関とは無関係と言われています。

Q&A

Difyに関してよくある質問や疑問への回答まとめです。

Q.Difyはスマホで利用できる?

Webブラウザ版のDifyはスマホでも利用できます。

ただし、ワークフローやチャットフローは操作性が悪いので、PCでの利用をおすすめします。

Q.日本語で利用できる?

公式サイト、アプリ作成ツールともに日本語で利用できます。

ただし、テンプレートの説明などは英語です。

その他、アプリのカスタマイズでも英語表記のところがあります。

必要に応じて翻訳ツールなどを使用しましょう。

Q.無料トライアルはある?

2024年6月時点で無料トライアルは全ての有料プランで利用できません。

Q.無料で利用できる?

10個までアプリを作成できる無料プラン「サンドボックス」が用意されています。

Q.生成したチャットボットは商用利用できる?

生成したアプリの商用利用は許可されています。

ただし、アプリが出力するコンテンツや情報については、Difyは責任を負わないと明記されています。

これは、大規模言語モデル(LLM)が学習したデータの中に著作権で守られているコンテンツがある可能性を示しています。

例えば、有名な物語や映画のセリフに酷似したコンテンツがアプリによって生成された場合、ユーザーは商用利用を控えた方がよいでしょう。

訴訟リスクの回避するうえで重要な取り組みといえます。

参照:Difyの利用規約(Terms of Service)

まとめ

「Dify」を利用することでプログラミング知識がないユーザーでも気軽にアプリを作成できるようになります。

さらに、APIなどで最新LLMや外部ツールもアプリに反映できる点にも注目です。

Difyの用途はさまざまですが、企業のカスタマーサービスや新商品紹介などでチャットボットを導入してみてはいかがでしょうか。

まずは、無料プラン「サンドボックス」でAIアプリ作成を試してみましょう。

※本記事は、2024年6月時点の情報に基づいています。

サービス内容や料金は変更される可能性がありますので、詳細は公式サイトでご確認ください。

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