【無料】Google Colaboratoryで使えるコード生成AI「Colab AI」を徹底紹介!料金や日本語での使い方など
近年、ChatGPTの登場をはじめとして生成AIが一大トレンドとなり、その中でもコーディング領域での「GitHub Copilot」のリリースは、AIがエンジニアの作業スタイルに大きな変革をもたらす可能性を示してくれました。
そんな流れの中、Googleは「GitHub Copilot」に対抗するかのように2023年5月にGoogle Colab上で利用できるコーディングアシストAI「Colab AI」をリリースしました。
このAIは、GitHub Copilotに続く、開発の補助を行う生成AIとして注目されており、それによりデータサイエンスやAI研究の取り組み方も新しい方向へと進化していくことが期待されています。
そして、2023年12月についに無料で「Colab AI」が利用できるようになりました。
そこで、今回の記事では、私自身のColab AIを用いた実体験を基に、その魅力や実際の使い方について詳しく解説していきます。最後までお読みいただければ幸いです。
Google Colab AIとは
「Colab AI」はGoogle Colab上で、GIthub CopilotのようにAIからコーディングのサポートを受けることができるペアプログラミング機能です。
この機能を利用することで、ユーザーがコードを記述する際、AIがその続きを予測して提案を行うAI補完機能や、自然言語に基づきコードを自動生成する機能、さらにはColab内でコーディングの疑問点などを直接質問できるチャット機能が利用できます。
リリース当初はGoogle Colab Pro以上のプランに加入しているユーザーのみが利用できましたが、2023年12月より無料プランを含む全ユーザーで利用が可能となりました。
ちなみに、Colab AIが発表された時のGoogleの公式ブログは以下になります。
Google Colab AIの料金
「Colab AI」を使用するための追加料金は発生しません。
リリース当初はGoogle Colab Pro以上のプランに加入しているユーザーのみが利用できましたが、2023年12月より無料プランを含む全ユーザーで利用が可能になりました。
日本語での使用について
リリース当初は英語での利用しかできませんでしたが、2023年10月8日前後から日本での利用も可能となりました。
また、日本語への対応も行われており、本語のコメントを書いた場合でも、そのコメントを理解し、そのコメントに適したコードを生成してくれます。
Google Colab AIを利用できる言語
Colab AIはPythonやColabに特化させて調整した「Codey」というモデルを採用しているため、「Python」での利用が主となります。
Google Colab AIの主な機能
Colab AIには、利用用途に合わせた複数のコーディング支援機能が搭載されており、これらの機能を駆使することで、ユーザーはこれまで以上によりスムーズで効率的なプログラミングが可能となります。
ここではそれらの機能について、それぞれ解説していきます。
自然言語でのコード自動生成
Colab AIには自然言語での簡単な指示だけで、欲しいコードを自動で生成してもらう機能が搭載されています。
具体的には、Colabのノートブックに追加された”生成”ボタンを押すことで表示される入力欄に、テキストでの指示を入力することで対応するコードが生成されます。
例えば、「フィボナッチ数列のn番目を計算する関数」という指示を入れると、Colab AIはその指示に沿って「フィボナッチ数列のn番目を計算する関数」のコードを自ら記述して提案してくれます。
これによりユーザーは自らコードを記述する量を大幅に減らし、効率的に開発を行うことができるようになります。
AIにより自動補完機能
Colab AIは「GitHub Copilot」と同様に、入力した関数名やこれまでのコードに基づいて適切なコードを自動的に提案してくれます。
例えば、二つの日付の間に何日があるかを計算する「days_between_dates」いう名前の関数を作成するとします。
Colab AIを有効にしていると、「days_between_dates」という名前の関数を作成するだけで、自動的に適切なコードをグレーの文字で提案してくれます。
このように表示された提案が適切であれば、Tabキーを押すだけで提案されたコードを受け入れることができます。
チャット機能
Colab AIは、自然言語を使ったコード生成やAI補完機能に加え、ChatGPTやbardのようにチャット形式でAIにプログラミングに関する質問ができるチャット機能が組み込まれています。
このチャットボットを利用することで、プログラミングに関する疑問を持った際に、Google Colab内ですぐに質問して解決することができるようになります。
これにより、Googleなどの外部ブラウザで情報を探す時間が大幅に削減され、開発の効率が向上します。
具体的には、「Googleシートからデータのインポート方法は?」や「PandasのDataFrameのフィルタリングはどう行うのか?」といった質問にも、速やかで的確な回答を提供してくれます。
さらに、この機能はColabの既存環境に組み込まれているため、追加のセットアップやインストール作業なしで手軽に利用することが可能です。
エラーの説明&原因特定機能
Colab AIの利用中、エラーが発生した際には、Colab AIがそのエラーの原因や解決方法を推測して、ユーザーに対して説明や提案を行ってくれる「エラーの説明」機能を利用することができます。
Colab AIを有効にしていると、エラーが発生した際に出力結果にエラーメッセージの下に「エラーの説明」というボタンが表示されます。
もしエラーの原因や解決方法が知りたい場合には、このボタンをクリックすると、エラーの詳細な原因や修正に関する提案をチャット形式で受け取ることができます。
特に、複雑なプログラムや長いコードの中でエラーを追跡し、原因を特定するのが難しい場合には、この機能は非常に役立ちます。
デフォルトでは英語で説明されますが、チャット上で「日本語で説明してください」とお願いすれば日本語でも説明してくれます
この機能を有効活用することで、これまでかかっていたエラー解決の際の手間や時間を大幅に削減し、効率的に開発を進めることができます。
Google Colab AIの始め方
設定画面から「Colab AI」機能をONにする必要があります。
Google Colabの画面で「ツール→設定→Colab AI」で、「生成AI機能の使用に同意している」にチェックを入れることで「Colab AI」機能を利用することができるようになります。
GitHub Copilotとの比較
GitHub CopilotとColab AIは、どちらも開発者の作業効率を大幅に上げてくれる非常に便利なコーディングアシストAIなのは間違いありませんが、その機能や利用できる言語においてはいくつかの違いがあります。
以下に、それぞれの特徴や違いについて詳しく比較していきます。
料金
GitHub Copilotは1ユーザーあたり10ドル(約1500円)で利用できるようになる一方で、Colab AIは無料で利用できます。
使用できる言語
Colab AIがPythonに特化しているのに対して、GitHub Copilotは言語によって提案されるコードの質は異なりますが、基本的にはどんな言語でも利用できます。
そのため、Python以外で利用したい場合には、必然的にGitHub Copilotを利用することになります。
実行環境
GitHub Copilotは、VSCode(Visual Studio Code)などの人気の高いIDEで利用することが可能です。
これにより、使い慣れたローカルの開発環境でスムーズにAIのサポートを受け取ることができます。
一方で、Colab AIはブラウザベースの環境であるGoogle Colab上で稼働しています。
これにより、自由度は低いものの、特定の開発環境やIDEを必要とせず、ブラウザさえあればどこからでも手軽にアクセスしてコーディングをサポートしてもらうことができます。
機能
GitHub CopilotとColab AIは、共にコードやコメントから次のコードの一部を予測し、補完してくれる点では似ていますが、それぞれが持つ機能や特長には違いがあります。
Colab AIの魅力は、自然言語からコードを自動生成してくれる点にあります。例えば、「グラフを描きたい」というシンプルな要望に対し、関連するPythonコードを提案してくれるのです。
また、エラーが生じた際には、そのエラーの内容や起因を具体的に指摘し、解決の助けとなる機能も備えています。
一方、チャット機能に関しては、GitHub CopilotもColab AIも採用しており、コーディング中の疑問点や不明点をリアルタイムで解決するためのサポートとして活用することが可能です。
どちらがおすすめ?
以上の特性を踏まえると、GitHub Copilotはコーディング経験者や頻繁にコードを書くユーザー向けに、精緻なコード予測を中心とした機能を備えていると言えます。
その一方で、Colab AIはコーディングの初心者や、コーディングにまだ自信がないユーザーを念頭に置いて設計されており、彼らがコーディング作業を円滑に進められるようサポートを重視しています。
そのため、普段からコードを書き慣れている人はGitHub Copilotがおすすめで、普段からあまりコードを書かない人や、コーディング自体はあまり重要視しない職種のデータサイエンティストなどにおすすめです。
Q&A
以下は、Colab AIに関するよくある質問です。
その他のよくある質問は、Google Colaboratory公式サイトのQ&Aにも記載されているのでこちらも参考にしてみてください
どんな言語でも使えるの?
Colab AIはPythonやColabに特化させて調整した「Codey」というモデルを採用しているため、「Python」での利用が主となります。
無料で使う方法はあるの?
Colab AIは無料で利用することができます。
AI コーディング機能を無効にするには?
ColabでAI コーディングを無効にするには、[ツール] メニューから [設定]、[Colab AI] の順に選択、そこで同意を取り消したり、AIコーディング機能を非表示にすることが可能です。
Q.どのようなデータが収集される?
Colab AIを使用する際には、プロンプト、関連コード、生成された出力、関連する機能の使用状況に関する情報、及びフィードバックがGoogleによって収集されます。
この収集されたデータは、Google Cloudのようなエンタープライズ プロダクトをはじめ、Googleのプロダクトやサービス、そして機械学習技術の提供、改善、開発の目的で使用されます。
Github Copilotとどっちがおすすめ?
GitHub Copilotはコーディング経験者や頻繁にコードを書くユーザー向けに、精緻なコード予測を中心とした機能を備えていると言えます。
その一方で、Colab AIはコーディングの初心者や、コーディングにまだ自信がないユーザーを念頭に置いて設計されており、彼らがコーディング作業を円滑に進められるようサポートを重視しています。
そのため、普段からコードを書き慣れている人はGitHub Copilotがおすすめで、普段からあまりコードを書かない人や、コーディング自体はあまり重要視しない職種のデータサイエンティストなどにおすすめです。
まとめ
Google Colab AIは、プログラミング初心者から上級者まで幅広く対応するツールで、Pythonに特化しています。これはデータサイエンスやAI研究に特に役立ちます。
GitHub Copilotと比較すると、Colab AIはPythonに焦点を当て、初心者向けに使いやすく設計されています。
一方、GitHub Copilotは多言語対応で高度なコード予測を提供します。ユーザーは自分のニーズに合わせて適切なツールを選ぶことが大切です。
Colab AIの機能は進化し続け、開発効率を向上させ、新しいコーディングスタイルを生み出します。このツールを活用することで、より効率的で快適なプログラミング体験が実現できます。
AIツールの進化に伴い、開発者たちは新しい技術の可能性を広げ、革新的な製品やサービスの創出が期待されます。Colab AIの活用が、皆さんのプログラミング作業を支援することでしょう。